福岡高等裁判所 昭和59年(う)289号 判決
本件走行速度測定機(日本無線株式会社製レーダースピードメーターJMA-2A型)は,車両に対する電波照射角度が27度と指定されており,この角度が2度浅くなると測定結果に1.4パーセント加速の方に誤差が生ずること,同測定装置は,ドプラレーダー方程式から算出した理論的な数値に対し,あらかじめ1パーセントの数値を差し引く設計を施し,更に,計算された結果の1キロメートル未満の端数の速度についてはすべて切り捨て表示する仕組みになっていること,時速65キロメートルで走行しているのに測定装置が計測を誤り時速66キロメートルを表示する場合とは,測定すべき車両が照射電波を受ける際に測定装置のアンテナ方向に向かい3度ないし4度の角度で進路を変更したときであること,車両が時速60キロメートルで進行し2度の角度で方向を変えると10メートル進行したときに,直進したと仮定した位置から真横に34センチ離れた位置を通過すること,時速50キロメートル以上の速度で走行する自動車が幅員3.5メートルの同一車線内を車線をはみ出さずに2度以上の角度で方向変換することは通常の運転者にとっては至難の技であることなどが認められる。
以上の事実により,本件速度測定装置は,電波の照射角度が指定されたものよりずれることにより計測値に誤差を生ずるが,表示される数値が理論上の数値より低いため誤差が修正される結果となり,2度以内の角度のずれであれば計測値を採用するに支障が生じないこと,また,普通自動車は50キロメートル毎時の速度で走行するときは,同一車線を進行する限り2度以上の角度で進路変更することはほとんどあり得ないことが認められるから,同一車線内を走行する車両に対しては本件測定装置により十分正確な速度を測定できることが認定できるものである。